みんなの山行記「電子国土地図」について

「みんなの山行記」における「電子国土地図」ページは「株式会社フリーソフト ネット」が研究目的に作製しました。

■電子国土画像地図を利用

ご覧いただいた地図は国土地理院のサーバーから配信されている画像地図です。 本来、画像地図は「電子国土プラグイン」がインストールされていない場合に 利用されるべきものですが、山行記ではAjax方式を採用したため、画像地図を 使用しています。そのため「電子国土プラグイン」が貴方のPCにインストール されていても、「ベクトルデータの電子国土地図」は表示されません。

■ベクトル地図を使わなかった理由

「ベクトルデータの電子国土地図」ならばもっと地図の活用範囲が拡がるはず でした。しかし、せっかくのベクトルデータでありながら等高線標高値などの 情報が公開されていません。もし標高値が公開されていれば登山ルートの縦断 図を自動作図できたのですが残念です。Webで配信するベクトル地図の有効性は 属性データも配信することによってはじめて実現すると確信しますが、こればっ かりは今後の公開を待つしかありません。属性データが無い段階では、「電子 国土プラグイン」をインストールしてまでベクトルデータを利用しようとする ことの意義は「微妙」です。そこで山行記では画像地図を利用させていただく ことにしました。

■地図表示処理

画像地図の表示はすべてJavaScriptで処理されています。フレームにイメージ エレメントをレイアウトし、縮尺と位置に対応した画像地図を国土地理院のサ ーバーから読み込ませています。ブラウザの機能によりこの「読み込み」は非 同期に行われ、かつ一旦読み込まれた画像地図は自動的にキャッシュに記憶さ れます。このような仕組みによって快適なレスポンスが実現されています。画 像地図のサイズをもう少し最適化していただければ、更にレスポンスの向上が 期待できると思われます。

■登山ルートの入力

電子国土地図上で登山ルートを入力することができます。山行記の「電子国土」 ページは公開されたばかりですので、まだ登山ルートはあまり登録されていません。 「電子国土」上でのルート入力は簡単ですので、これから多く登録されていくこと と期待しています。登山ルートの入力制御もJavaScriptで記述されています。 マウスを使ってラインを入力できます。入力後にラインの頂点を移動したり、追加 /削除も可能です。(ユーザー登録をしてからログインしないと入力できません。) ルートのラインやルート上のシンボルなどの図形はSVG及びVMLで表示しています。 山行記では使われていませんがポリゴンも扱えます。

■電子国土とGoogleMap

登山ルートはサーバー 側のデータベースに記録されます。電子国土で入力したこのルートは山行記の GoogleMapページでも表示することができます。GoogleMap側も同じデータベース を参照しているからです。この仕組みにより、ユーザーは両方の地図を目的に応 じて使い分けることができます。 「みんなの山行記」管理人も述べているとおり、目的地の山を探しその位置を 認識するにはGoogleMapの地図の方が分かりやすく、一方、登山ルートを入力した り観察するには、等高線のある電子国土地図の利用が必須になります。これはそ れぞれの地図の利用目的(作製目的)が異なるからです。電子国土の地図は 「地形図」ですので等高線がしっかりと記入されているわけです。

■Web-GISと公開地図

利用目的に最適な地図を使い分けるというWeb-GISのこのような便利さは、公開され る地図が増えれば増えるほど認識が深まっていくことでしょう。ただし、利用目的 の異なる地図(地図の種類)が増えていくことが大切で、同じような地図が増えて もあまり嬉しくありません。地図公開が商用目的である以上、似たような地図が氾 濫するのは仕方がないことではあります。そのような意味でも「地味な」地形図を 全国漏れなく提供している電子国土は流石に公的機関の仕事と言うべきもので、自 治体は防災などにもっと活用すべきではないか、と思います。

■地図の標準化

山行記にてWeb-GISを実装するにあたり、地図のデータ構造は問題になりませんでした。 「両者とも画像地図であるから」ではありません。利用者にとってはデータ構造など関 係なく、関係するのはAPIです。つまり地図の利用手段です。データ構造を標準化する ことが国際的に行われていますが、成すべき標準化はAPIではないでしょうか。データ 構造はGISベンダに競争部門として自由にさせるべきであり、標準データ構造を押しつけ ることは「競争の抑制」ではないでしょうか。しかも「データ構造の標準化」がデー タ交換仕様にとどまっていれば問題ないのですが、XMLデータベースの定義書のようにな っている現状は疑問です。GISでのアプリケーションを開発したことがない人の方が「標 準化」にこだわる傾向があるように見受けられます。「電子国土のベクトル地図はプラグ インを用いないと表示あるいはデータへアクセスができないので非公開、非標準である」 との批判がありますが、プラグインが提供する機能はJavaScript関数として公開されてお り、「APIが公開されている」ことで十分オープンである、と反論したいと思います。 「SVGフォーマットで提供される地図が本来の公開地図」という意見もありますが、SVG はWebシステムの標準仕様でありますが、SVGフォーマットで提供されてもアプリケーション を開発する人にとっては何も嬉しくありません。例えば電子国土のAPIにはトポロジクエリ もありますが、同様のクエリが提供されるなら、SVGフォーマットでも何でもかまわないのです。

■Web-GISとプラグイン

ブラウザの機能を拡張するためのプラグインは、ブラウザのセキュリティ設定で禁止され ている事が多いようです。自治体のサイトのように、コンピュータに詳しくない人にも平 等な情報公開手段であるために、プラグイン方式に逡巡されることは理解できます。しかし 利用者が限定される専門的な分野、高度利用分野においてもプラグインを拒否することは 機能制限につながり、可能性を奪うことになります。少なくてもプラグインの要不要は システムの優位性を決めるファクタではありません。

■Web-GISとサーバーコンピューティング

セキュリティの問題からサーバーコンピューティングの優位性が語られます。つまり「ホ ストコンピュータと端末」という運用形態は「ホストコンピュータにリソース(データ、 メモリ、プログラム)を集中させるのでセキュアである」、という利点のことですが、「サーバーコンピューテ ィングの方がWebシステムより優れている」、という結論までいかずとも、両者の優劣を比 較してしまっている議論を見かけることは問題です。サーバーコンピューティングはWebシ ステムのライバルではありません。「既存のデスクトップアプリケーションをLAN上のクラ イアントPCからそのまま使えて、OSが異なる古いPCの有効活用も可能」、という利点と、「クライ アントPC側にデータを置く必要がない」という副次的なことが、セキュリティと結びついた だけに過ぎず、DNAの解析に貢献したと言われるインターネットでの分散処理と比較できる ものではありません。つまり最初からWebシステムとして生まれたソフトウエアをわざわざ 「ホストと端末」という構成に押さえ込む必要はないということです。現在のWWWを「ホスト と端末」の関係で実現できるとは誰も思いませんし、シンクライアントシステムのベンダも そのような主張をするはずがありません。セキュリティ面だけで優劣を論じてしまうことがないよ うに注意すべきです。

2007年08月12日 株式会社フリーソフトネット
http://www.freesoftnet.co.jp